夏川くれあ

夏川さん、今日は貴女の事、『君』って呼んでも良いかな？大人の女性に対して失礼かも知れないけれど、何故か僕には、そして多分世の男性全てにとって、それが一番しっくりくるんだ。君のその凛としたけれどもどこか儚げな美しさ、四万十川の清流を思わせる圧倒的な透明感、不意に視線が交錯し恥ずかしそうにうつむくその表情、その睫毛。『恋』なんてとても柄じゃないけど、馬齢を重ね処世術の塊のような自分だけど、間違いなく僕は今、君に恋してる。ブラウン管の中の誰かに似ている君と、他の誰でもない唯一無二の君。手を伸ばせば届きそうな君と、決して誰のものでもない君。ようやく少し緊張もほぐれてきて、君は幼少の頃から習っていたクラシック・バレエの話をしてくれたね。華やかな舞台と、その裏での地味で単調な日々のトレーニング。流した汗の数だけ、人は慎み深く、他者に対して優しくなれる。クラシックチュチュを身に纏い一心に躍動する君は、きっと他の誰よりも輝いていただろうね。『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』『白鳥の湖』そのどれもが君にピッタリで、なのにもっともっと相応しい演目がありそうで。ごめんねまとまりがなくて、支離滅裂で。でも僕をこんなにさせたのは、他の誰でもない、君なんだよ・・・